サワラは細長い体の大型肉食魚で、主にカタクチイワシやイカナゴを捕食します。生態は北海道南部・沿海地方から東シナ海まで、東アジアの亜熱帯域・温帯域に分布しています。そして黄海を産卵場とする日本海南部・黄海・東シナ海に分布する系群と、備讃瀬戸を産卵場とする瀬戸内海から西日本太平沿岸に分布する系群の二つに分けられます。
体色は灰青色で、腹側に行くにしたがい銀白色で、体側には青褐色の斑点が縦に7列並んでいます。口は大きく、顎には鋭い歯があります。第二背びれ・尻びれと尾びれの間にはトゲのような小びれが並んでいます。また、体内には浮力を調整する「うきぶくろ」がありません。
成長するにしたがい、サゴシまたはサゴチ(40〜50cm)、ナギ(50〜60cm)、サワラ(60cm以上)と呼び名が変化する出世魚です。なお、近畿、四国の一部ではヤナギ(若魚)などの別名があります。
サワラは1年中北海道以南の日本近海において、刺し網、定置網、引き縄(トローリング)などの沿岸漁業で漁獲されます。
冬場は東シナ海が主漁場となりますが、関東、山陰、九州などでも1〜2月に漁があり「寒ざわら」といって珍重されます。脂が乗って味の旬を迎えますが、この時期は深場に潜り、行動も鈍るために漁獲量は減少します。
サワラは本来の旬としては、10月から翌年の3月とされていますが、岡山では5月です。これは備讃瀬戸を産卵場とするサワラの主な産卵時期が4月後半から5月ごろなので、外洋からどんどん瀬戸内海に入ってきて岡山でも漁が行われるのです。
史実として確認できる岡山のサワラの歴史は、江戸時代・8代将軍吉宗(暴れん坊将軍でおなじみ)の時代にまでさかのぼります。当時記された「備前國・備中國之内領内産物帳」※1には「当地では、馬鮫魚(サワラのこと)なる魚が豊かである」と記されていました。つまりそれ以前の時代から岡山のサワラは、名産物とされていたといえます。
※1備前國・備中國之内領内産物帳:享保20年(1735)から元文元年(1736)にかけて、江戸幕府の命によって、岡山藩が備前国・備中国の領内の動植物をことごとく調査して編纂された。
身の見た目があまり赤くないために白身魚として取り扱われる事も多いのですが、サワラは赤身魚です。切り身を塩焼きまたはみりん醤油のたれで炙った焼き魚、西京味噌を使った「西京焼き」、唐揚げ(竜田揚げ)などで食べられます。
身が軟らかく崩れやすいので煮物には向かないと言われることもありますが、煮魚でいただく家庭も少なくありません。
北陸を中心とした地域では、昆布締めにして食べられおり、香川県などではサワラの卵巣を使ってカラスミをつくっています。
そして岡山ではサワラの刺身がポピュラーな食べ方で、にぎり寿司のネタにも使いますし、酢に浸してもちいる「ばらずし(ちらし寿司)」も代表的な料理です。
サワラを食べることでビタミンB2・ビタミンD、ナイアシンをその良質なタンパク質とともに摂取できます。また、体内の余分なナトリウムの排出を促す効果があるカリウムを多く含みます。血圧上昇を抑制する働きがあり、高血圧症の方にも良い食材です。DHA、高コレステロールを改善するEPA、タウリンなどの最近よく聞く話題の栄養素も多く含みます。
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